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日本人管理職の最大の弱点、「創造性」


私は約20年、様々な人材の能力アセスメントに関わってきたが、そのほとんどは日本人である。そのうち、新卒採用でない部分で言えば、おそらくその8割以上は日本企業に勤めている方々である。管理職になる手前ぐらいの方が多く、経営層候補、事業部長なども含まれている。多くはインタビュー形式のアセスメントである。






そうした人材に共通する強みや弱みがある。おそらく、アセスメントに直接携わったことがない方からすると驚くほどだろうと思うが、企業によって色がある。ただ、そうした企業によっての特徴も、個人個人の特徴も均した時の強みと弱みである。

強みとしては、バイタリティ系の能力や、ストレス耐性系の能力、情報や状況を把握する能力が共通している。要は、情報を正確に理解して、粘り強く、我慢強く最後までやり切る、という人の姿を思い浮かべてもらえれば、それが日本のホワイトカラーの管理職層の典型像と言える。これに加えて、ここ20年ほどは、統計的な検証はしていないが、徐々に分析力系の能力が高まっているように思う。

共通する弱みは、創造性系の能力と戦略策定系の能力、俯瞰系(ビジョン構築や長期的な計画力など)の能力の3分野である。強みと合わせて典型像を言語化するなら、

「情報を正確に理解して論理的に分析し、粘り強く、我慢強く最後までやり切るが、今までにないやり方、人と違うやり方を自分で考えることが少なく、現場視点ではあるが視点が低い。」

という像になる。

しかし、創造性というものは、測定が難しい。人が人を「創造的だ」と思うのは、人が何らかのアウトプットをしたものを見て初めて言えることだからだ。「この絵はクリエイティブだなぁ」などと。アセスメントが評価するのも、何か構想したアウトプットに、目新しさがどれほど見てとれるか、といったことである。

しかし、創造性というものは、思考プロセスなのである。思考といっても左脳的というよりは右脳的で、直感的である。人の頭の中は、かち割っても見ることができない。

しかも創造性は定義でさえ難しい。定義がなければ測定もできないし、測定方法が限られているのでそれに合わせた定義は意味が薄れたりもする。私は創造性を「自分の知識にないことを考え出す思考プロセス」だと定義しているが、定義や測定方法についてご関心があればぜひ心理学の論文や書籍を探ってみていただきたい。どれだけ難しいかがお分かりいただけることと思う。

ちなみに、私は忘れっぽい。自分の記憶をたどって何かを思い出して何かを作るのは時間もかかるし、思い出せないことも多いし、そもそも実に苦痛である。そんなことをするぐらいだったら、ゼロから作った方がよっぽど速いし楽しい。これは創造性である。忘れっぽさが創造性を鍛えてくれたとも言えるような気もする。

創造性は、訓練可能である。創造性が弱いと自認している人は実に多いが、その多くが創造性の強さは天賦の才能だと思っている。もちろんそういう天才的な人もいるだろうが、創造性が高い人の、控えめに言ってもおそらく半分以上は後天的な訓練によるものである。(別の記事「創造性とは、伸ばせる能力なのか?」参照)

私の考えでは、創造性系以外の共通する弱みも、似た原因を持つ。戦略策定系の能力は、誰もが考え付く戦略が有効であるうちは全く問題がないが、それ以外に選択肢を自分で作れるかどうかは創造性に依存する。俯瞰系も似ているのだが、話が横道に逸れすぎてしまうので省略する。

創造性は、内発的動機によって高まる(Teressa M. Amabileなど)。

内発的動機とは、何かに対して、自分が好奇心や関心を持つことや、自分が好きであることから、やりたいと思うこと、感じることである。内発的以外の動機には、外発的動機などがある。目標を達成するために持つ動機、誰かにやれと言われたからやる動機、それをやるとお金が入ってくるということから来る動機などは内発的動機ではない。

ここで、先ほどの「日本の管理職人材の典型像」を思い出してほしい。内発的動機は、おそらく非常に低い。「上位方針」についてよく理解して、粘り強く、我慢強く頑張っているのである。「そのどこが悪い?」と思う方もいらっしゃるかもしれないが、それはそれで素晴らしい。しかし、推測される事実として、内発的動機が強くない状態で仕事をしている人がとても多い、ということだ。

あなたは、仕事をする上で、内発的動機がどれくらい働いているだろうか。上司から与えられた仕事をすることは、組織の中で働いていれば当たり前だが、それに「はい」と答えて、自動的に動いてはいないだろうか。例えば、その指示を、自分個人の目的と結び付け、自分が嬉しくなることやワクワクすること、好奇心を持っていることと結び付け、「これは自分自身のためにやる仕事だ」というコミットメントを固めることをやっているだろうか。別のやり方もあると思うが、もしそのようなことをやっていなければ、かつ、創造性を高めたければ、ぜひやってみていただきたい。

私は家族に頼まれたちょっとした買い物でもこれをやるようにしている。「買い物は面倒だけど、そう言えばちょっと気になっていた新発売のあの飲み物を買ういいチャンスだ」などと。私はよくスーパーマーケットに買い出しに行くが、子供達も一緒に行って手伝ってくれる。その時には「買い物特権」制度を設けている。買い物に行く人は、好きなものを買っていい特権を持っている。それが子供達の内発的動機になればいいと思っている。

「人に言われた仕事をやる」だけの場合と、「自分で自分自身のためにやると決めた仕事をやる」場合とでは、創造性以外にも重大な差を生む。それは「ストレス」である。その仕事をやる中で同じ困難状況に出くわしたとしたら、前者だとストレスに感じやすく、後者だと感じにくい。(どこかにこのエビデンスがあったが、忘れてしまった。かといって、新たに作り出すわけにもいかない(笑)。もしご存知のエビデンスがあればぜひご連絡いただければありがたいです。)

創造性は人生を楽しく、幸せに生きるコツであり、なおかつ日本全体に(もちろん世界にも)貢献できるものだと言っても間違いではないだろう。ちなみに、この分野にご興味があれば、関連性が深いので、こちらの記事(「創造性とは、伸ばせる能力なのか?」)もご参考になると思う。


宮田 丈裕 (当社代表)




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