成長のためには「振り返り」が必要であることを『 あなた自身の成長のために① ~成長できる人の2つの条件 』で書いた。 『デイヴィッド・コルブ氏の経験学習モデル("Experiential Learning Theory")というものがあるが、それに当てはめると分かりやすい。経験学習モデルを簡単に紹介すると、人は経験を通して成長することができる。それには4つのプロセスを経ていることが必要で、それは具体的な経験、省察、概念化、実践的試行であり、それは循環する。つまり、何かを経験して、それを振り返り、「こういう時にはこうするといいんだな」とか「こうした方がうまくいくんだな」などと理解し、それを別の機会で試し、そしてまた新たな経験に戻る。 このうち、うまくいかない経験の後、それを省察することによって生まれるのが成長意欲である。つまり本人が行動変容の必要性を感じている状態である。特に人は忙しくなると、省察は抜け落ちる。実践的試行も少なくなる。そうすると経験と概念化だけになるので、要するに仕事も忙しい中で、勉強したり新たな知識を得ているような状況だが、この2つが結び付かないようなケースである。そうすると人は成長しない。』 ここでは、その振り返りをどうやってするかについて書きたいと思う。というのも、振り返りは難しい。振り返りはある程度客観的である必要があるが、人間は誰でも主観から逃れられないからだ。 そこで助けになるかもしれないのが"STAR"という概念である。これ自体は非常にシンプルである。 STARというのはS, T, A, Rという頭文字を取ったもので、それぞれは以下のような意味がある。 Situation:状況…あなたがある一時点で置かれた状況。あなたを取り巻く環境。 Task:タスク…その時点であなたがやるべきだった事柄。ミッション、役割、責任範囲。 Action:言動…その時、あなたが取った行動、言動。 Result:その結果どうなったか。 1つ単純な例を挙げてみよう。営業担当者の方がSTARで省察をするとしよう。Situationは、例えば、 「担当する顧客企業があったが、前任者の時にトラブルがあり、先方から信用されていなかった。」 Task。 「自分が担当することになり、以前は大きな顧客だっただけに、そちらのキーパーソンの方...
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